DAYDREAM

白日夢を徒然なるままに

嫌われ松子の一生

Matsuko 待ってました!!中島監督の最新作「嫌われ松子の一生」早速見てきました。いつもの幕張シネプレックス7番劇場です。いつもは平日の会社帰りに映画を見ていますがずっと前から見たかった映画なので封切り直後の休日鑑賞はかなりの私的特別待遇です。まぁ、それほど期待していたってことなんですが、果たしてどうだったんでしょうか?

正直、私には期待通りの出来でした。いや、それ以上かもしれない。この監督の前作「下妻物語」を一度見たことがあってどんなことをやらかしてくれる監督なのかを知っていれば、ミュージカル仕立てになっているこの映画はそんなに驚くような演出じゃないですね。むしろ前作よりお金がかかっていて豪華になってますし、全編を取り巻くPOPな映像美もさらに磨きがかかっている感じです。

まぁ、問題なのはこのどうしようもなく救いようのない松子の人生譚をどう描いたかでしょうけど、私的にはあれで問題なしだと思います。映画公開前に原作をちょっと読んだのですが、この原作をそのまま映画化したらそれこそ「ダンサーインザダーク」とか「リリィ・シュシュのすべて」みたいに物凄い後味の悪い『痛い映画』になっていたでしょうね。それをミュージカル的演出や笑いなどを取り入れて感情の高低差をあえて付けることで、どうにか観客が2時間以上鑑賞に堪えるレベルにまで持っていっているのでしょう。これはアイデアですね。

それにしても松子の人生に、共感はしなくても考えさせられました。この物語は松子の転落人生に違いないのですが、それと同時にすれ違いの人生でもあります。松子は最後に一人寂しく逝ってしまいますが、本当はそうじゃないんですよね。一見惨めなんだけど、実は本人の生き方が愚直すぎた裏返しの姿なんですよね。

人間一度はどこかの歯車が狂って自分の人生を呪ったり投げだそうとしたりする物ですが、それを乗り越えたりすると意外にうまくいってしまったりする物だし、自分を必要としている人は結構身近にいたりするもんです。だって、松子が嫌われていたのはあのボロアパートの住人と弟にだけだったじゃないですか。ねっ。

個人的にはかなりのお勧めですので、是非劇場でご覧くださいませ。あの独特の映像美とミュージカルの音楽は映画館で楽しむべきです!