久々に公開初日の映画を見て参りました。クリント・イーストウッド監督の最新作、「父親たちの星条旗」です。おなじみ幕張シネプレ10番スクリーン(THX館)です。話題作だけあってかなりのお客さんが入ってましたね。
クリント・イーストウッドがこの映画のコメントで言っているように、昔の特に洋画の戦争映画って勧善懲悪というか、アメリカが敵を倒してバンザーイという映画が多かったですが、最近は戦争に対する嫌悪感バリバリの映画が多くなってきてますよね。
この作品もご多分に漏れずその仲間なんですが、むしろこの第二次大戦の硫黄島での戦いで、擂鉢(すりばち)山の頂上に星条旗を掲げた場面を写真に撮られてしまったばかりに、その後の人生を狂わされてしまった人たちの復員後の話がメインになっています。この作品が単なる戦争映画では無い所以ですね。
硫黄島の星条旗の写真はご存じの方が多いと思いますが、この映画で初めてその経緯を知りました。やらせではないにしろちょっとショックです。っていうか、あれは勝利の旗ではなく、単に占拠した山頂に掲げた旗なのですね。その後35日間も戦闘が続いたって劇中で言ってました。
後もう一つ初めて知ったのが、硫黄島の戦いの頃になるとアメリカも資金が底をついていて国債を発行しないと戦争が続けられないような状態にいた、というところです。毎週のように空母なんか造っていたからでしょ。まぁ、それで旗を掲げた彼らが利用されてしまうわけですが、、、
とにかく映画全体が重いです。戦闘シーンなんかは特に。猛烈に無慈悲。カッコいい戦闘シーンなんてまるで皆無。現実の戦場は地獄以外の何物でもないということか。
私は過去に戦争従軍者や経験者に戦時中の話を聞き回っていたことがありますが、前線にいた人ほど多くを語ってくれませんでした。でも、この映画を見て納得です。そんな簡単に話せる話じゃないんですね、体験した本人にとっては。
あと、この映画字幕が始まっても帰ってはいけません。ここからが本当の戦争記録なんですから。次回作の予告も最後にあるし。
それにしても12月9日公開の次回作、「硫黄島からの手紙」が楽しみです。アメリカ人が監督した日本側からみた硫黄島の戦い。この作品を見る限りかなり期待できそうです。