青森市から車でおよそ二時間、下北半島を北上した先にあるむつ市。そこをさらに陸奥湾沿いに西へ少し行くと見えてくるのが海上自衛隊大湊基地です。
そう、その昔ここは大湊警備府と呼ばれていた軍港だった場所。主に北方方面への拠点として機能した港でした。
むつ市から国道338号線を海岸沿いに車を走らせると、ちらちらと護衛艦のマストが見えてきます。すると程なく左側に元水交社の建物だった北洋館を発見。
艦艇見学の受付はここ北洋館で行われます。
北洋館の内部は資料館になっているのですが、規模は小さいながらも結構展示がマニアックで面白いです。この手の資料館の展示は一般的な項目に終始してどこも同じような感じになりがちですが、ここ北洋館では主に第二次大戦中の第五艦隊(北方艦隊)の展示スペースが取られているのが特徴的。
第五艦隊の多摩・木曾の時代から那智が加わったところまで網羅されており、アリューシャン作戦を詳しく知れるのはまさにここくらいですね。
(北洋館内部の写真撮影禁止かと思ってたらそうじゃないと後で知る、、、痛恨)
艦艇見学は週末の午後に行われますが、北洋館で受付の後、時間になると玄関付近で艦艇見学希望者が集められ、集団で基地内へ案内される仕組みになっています。なので、集合時間を守らないと参加できないので注意!
私が行ったときはおよそ20〜30名くらい参加者がいたと思いますが、こういう形で艦艇公開が行われるのは、ここ大湊だけですね。
艦艇見学参加者は担当者に引率され北洋館脇のゲートから基地内に降りていき、桟橋に向かいます。
早速目の前に現れたのはたかなみ型護衛艦「すずなみ」(114)と、お隣で見切れているのはあさぎり型護衛艦「はまぎり」(155)。今回見学するのはこの2隻ではなく、、、
本日の広報担当艦は「ちくま」(233)です。あぶくま型の小ぶりな護衛艦で、隣の同型艦「おおよど」(231)と共に北の海を守ります。
あぶくま型は第二次大戦期の巡洋艦の名前を冠した艦艇が多く、「提督」にはなじみのある名前が多いかと思います。「あぶくま」「じんつう」「おおよど」「せんだい」「ちくま」「とね」の計6隻が日本沿岸を守っているわけですね。
さて、「ちくま」の甲板上で二班に分かれて見学開始です。私は二番目の組でした。
担当の自衛官さんが凄く丁寧に兵装を説明してくださいました。他の艦艇公開では「パネルの説明読んでね。分からなかったら近くにいる自衛官に聞いてね」なのですが、大湊では懇切丁寧に教えてくださいますね。
あぶくま型は後部甲板にCIWSがポツンと低い位置に載っているので、構造をよく見ることができます。この蛇腹状のマガジンに弾が装填されますが、今日は未装填です。
後部甲板から陸奥湾を眺める。大湊港は護衛艦の定係港としては一番美しい港だと思います。
約70年前、重巡洋艦「那智」と軽巡洋艦「多摩」・「木曾」が第五艦隊としてこの港を根拠地に北方の守りを固め、伊401がウルシー環礁に向けて最後の出撃をしたのもこの美しい港からでした。
と言うわけで、大湊警備府探訪記はここまで。