2025年12月にエジプト旅行をした記録になります。

ルクソール編 Part.1では西岸地区の遺跡を巡りましたが、今回はその続きである王家の谷のセティ1世・ラムセス6世王墓を訪れた内容になります。
エジプト旅行記 その7 ルクソール編 Part.2
王家の谷(セティ1世王墓)
ツタンカーメンの王墓見学の後は、ツアーから離れて自らチョイスした「わがままルート」の単独行動となる。まずはセティ1世王墓だ。
セティ1世は神殿を数多く作ったラムセス2世の父親という所からも分かるように、お墓を適当に作るはずもなく、王家の谷でも最大規模のお墓となっている。
ここは特別入場料が必要。つまり、このお墓に入るだけでお金を取られるのだが、なんと1800エジプトポンド=約5,900円である。高っか!
その入場料のおかげか観光客も少なく、じっくり見学することが出来た。


とても長い王墓内を下降して行くにつれて、どんどん豪華になっていく壁画やレリーフに目を奪われる。初めは「太陽神ラーの賛歌」が描かれた通路を下っていく。
少し専門的になるが、王墓に描かれている壁画やレリーフは古代エジプトの宗教観から来る「太陽が沈んでから再生(日の出)するまで」を表したもので、日没後12時間で行われる太陽の「冥界」での行程が示された物語が描かれている。
「アム・ドゥアトの書」「門の書」等いろいろ種類があり、どれも概ね上記ような内容なのだが、とにかく難解。あくまで私見だが、難解にすることで神秘性とか、人の力を超越するものといった印象を与えるのだろう。
セティ1世王墓も例に漏れず、玄室へと向かう通路にひたすら「冥界の世界」が描かれている。


通路途中にある、アム・ドゥアトの書の4時間目は「冥界に於ける試練の場」を描いた内容として圧巻。
冥界へと向かう「沈んだ太陽」は船に乗りながら冥界を下っていくのだが、閉じられた門を開けたり、魔物などを退治しながら進んでいかなくてはならない。どこぞのロールプレイングゲームのようである。そこで出合う魔物の種類や閉ざされた門を開けるための方法などをこのレリーフは示している。
つまり「冥界を彷徨い脱出するためのガイドブック」がアム・ドゥアトの書で、それがそのまま壁画になっているようなものだと思えばいい。


玄室の天井には古代エジプトの天体図が描かれている。ナイル川が増水を始める頃の天体を表したものと言われており、上の写真の上半分に当たる北天の図には当時の星座が描かれている。
もうとにかくスゴイ。どれだけ時間をかけて壁画やレリーフを描いたんだよと思わせる量とクオリティ。
どんな人が設計して、壁画やレリーフをデザインして、実際に作っていたのか。セティ1世王墓は一部未完成の部分はあるが、これだけのものを完成させるのは並大抵ではない。これが今から約3500年前の人たちの作品。さすが(時代は違えど)ピラミッドを作った人たちだけはある。
王家の谷(ラムセス6世王墓)
セティ1世王墓の感動覚めやらぬまま、つぎはラムセス6世王墓へ。
ここも入場には特別料金が必要だが、セティ1世王墓の10分の1の料金で入ることができる。つまり、600円程度なので王家の谷に来たなら是非入ってほしい王墓だ。
ここは規模的にはセティ1世王墓に及ばないが、天井画がとてつもなく長大で美しい。そして、壁面が白い上に、今から3000年以上前の色彩がかなりはっきり残っているので、他の王墓と違いポップで明るい印象を受ける。

内部は本当に美しい。壁画やレリーフはセティ1世王墓とほぼ同じ内容で「門の書」「洞窟の書」「アム・ドゥアトの書」、さらに有名な玄室の天井画である「昼の書・夜の書」などで構成されているが、見るものに与える印象が違う。
ラムセス6世王墓の方が全体的に明るく色彩豊か、絵柄も簡略的というか漫画的なので、あまり重い内容に見えない。冥界ではなくて、全部昼の世界を描いてるのでは?と思ってしまう。
そして圧巻なのは天井画だ。


玄室までずっと天井を見て歩いていた。
そうすることで、古代エジプトの人たちが考える宇宙観というか、天空の構造をそのまま垣間見ることが出来るのだが、この天井画はその大きさとか果てしなさを表したものではないかと見ていて感じたのだ。
そうこうしているうちに玄室にたどり着く。


玄室は盗掘によってかなり破壊されたことが見て取れる。
王の石棺などはかなり細かく破壊されていたし、石棺のあった場所はえぐれている。展示されていた修復された石棺はかなり痛々しい。発見当時も王のものと思われるミイラは部分部分バラバラになって一部だけ発見されたようだ。
玄室にて天井を見上げてみると「昼の書・夜の書」と呼ばれる天井画が描かれている。

とても大きな絵なので、すべてが写真に入りきれない。
夜の書はアム・ドゥアトの書などと同じで、12時間に分かれた冥界の様子を表したものになり、昼の書はヌト神の体内を巡る冥界から再生された太陽が、その下にいる神々を照らしている様子を描いている。
この絵の解説本を読んでも超絶難解すぎて、私の頭では理解不能のためここまでにするが、とても巨大な絵なのに繊細さすら感じる美術として「昼の書・夜の書」を現地で鑑賞できたのはとても良い体験であった。
盛りだくさんだったルクソール西岸の遺跡探訪はこれにておしまい。次回は東岸にあるカルナック神殿とルクソール神殿を訪れます。