DAYDREAM

白日夢を徒然なるままに

メレル モアブ3 レビュー&登山靴になるかの話

アメリカのアウトドア向けシューズメーカーであるメレル(MERRELL)社の製品、モアブ(MOAB)3を購入して半年経ちましたので、そのレビューをしてみたいと思います。

 

また、モアブを語る上で論争?になりがちな「モアブは登山靴として使えるか?」に関しても、使ってみた上での個人的な見解を述べていきます。

 

 

 

モアブ(MOAB)とは?

 

 

既述の通り、アメリカのアウトドアシューズメーカーであるメレル(MERRELL)からハイキングシューズとして発売されているのがモアブです。2007年に初代モアブが発売され、2023年現在では三代目のモアブ3に進化しています。

 

モアブは大きく分けて4種類あります。

 

まず、靴の形で2つに分けられ、ひとつはくるぶしまで履き口があるミッドカットモデル、もうひとつは履き口の高さが普通の靴と同じローカットモデルがあります。また、それぞれに表面が合成革+メッシュとスウェード+メッシュのモデルがあり、好みで選択可能です。

 

ミッドカットモデル

 

あと、付け加えるとローカットモデルには足の幅が広い人用のワイドモデルがあります。幅広が多い日本人にも安心ですね。

 

重量も片足で460gと見た目のゴツさに反して、実際に履いてみても思ったよりも軽い印象。

 

防水機能、グリップ力の高いビブラムソール、つま先ガードなど基本的な機能は共通となっています。

 

私が購入したMOAB3 GORE-TEX(色違い)

 

私が購入したローカットモデルだと、おなじみGORE-TEXで防水機能を実現。ビブラムソールも特に雨の日などの濡れた路面に対するグリップが高い印象で、滑りやすい場所でも安心して歩けます。

 

私の中ではモアブは何故か「海外バックパッカーがよく履いてそうな靴」という勝手なイメージがあります。だって、いかにもそんなデザインじゃないですか?!

 

 

 

モアブの使用感

 

使っていて感じるのは「歩きやすさ」に重点を置いているシューズなんだな、ということ。

 

この靴を履くと、踵(かかと)での着地から後ろ足で蹴るまでの歩行工程がとてもスムーズになるんです。これは、アウターソールが見かけの割に柔らかいのと、つま先がソリ上がっているから。

 

 

そうすることで、平地では後ろ足で蹴りやすくなり推進力が生まれ、足に余計な負担をかけずに歩きやすくなります。だから、いつまでも歩いていられる感覚になる。

 

インナーソールも低反発素材で作られているので、フィット感がとても良いです。踵(かかと)がやさしく包まれているような感じで、足への衝撃も軽減されています。

 

防水など数々の機能を持っているモアブですが、私がこの靴に対して感じる最も良い点は、以上のような靴の構造から来る歩きやすさです。

 

あと、ビブラムソールが良いですね。

 

 

ソールのブロックパターンが縦横に細かく深いので、地面によく食い付きます。未舗装路を歩いていても、土によく食い込むので滑りにくいです。雨の日も強力なグリップを発生させるので、濡れた滑りやすい路面でも安心して歩けます。

 

一つ実例を挙げると、今年の夏にモアブを履いて西表島の山中を探検したのですが、あのジャングルの中を全く問題なく歩くことが出来ました。

西表島 マリユドゥの滝

マリユドゥの滝までの密林の未舗装路や、濡れている川辺の岩場や滝つぼなど、いろいろ歩きましたが、滑ったり転倒することもなく、疲労感も少ない快適なハイキングが出来ました。素晴らしい!

 

 

登山靴になるか問題

 

メレルに限らずハイキングシューズは登山靴として使えるか?に関してはよく議論されますが、モアブは登山靴にはならないと思っています。

 

重要なのがここで言う「登山靴」の定義です。人によって解釈はまちまちですし、細かく言い出すとキリが無いので、ここでは以下の定義で使わせていただきます。あくまで一般論として語るので、例外はあることをご容赦ください。

 

ここでの登山靴の定義:

日本アルプス南八ヶ岳を代表とする荷物を背負いながら長時間の歩行が必要で、岩稜帯やクサリ場、急な斜面等がある標高2000m以上の山を登るのに適した靴」

 

 

では、なぜモアブが登山靴にならないかというと2点理由があります。

 

フラットフッティングに適しているか?

 

上の方で「モアブは歩きやすい靴」と説明しましたが、その歩きやすい工夫が仇となって登山靴には不向きになっています。

 

基本的に傾斜面を歩く山中では、我々がふだんやっているように後ろ足で蹴って推進していくような足に対して負荷の大きい歩き方はしません。フラットフッティングと言って、抜き足差し足でペタペタと靴底を接地させ、足の筋肉の負荷を最低限にしながらグリップを足裏全面に効かせつつ歩行するのが基本です。

 

www.yamakei-online.com

 

残念ながらモアブはフラットフッティング向きとは言えません。登山靴よりもつま先が大きくそり上がっていることから、つま先に荷重を移動させたくなるので、どうしても蹴って推進力を得る歩き方になってしまいます。

 

また、同様の理由から、地面に接地しないつま先分だけ接地面積が小さくなるので、本来靴が持つグリップ力を最大限生かせません。これでは下り坂をつま先で踏ん張れないですし、足下のフリクションが最大限必要になる下山時に致命的です。

 

もう一つ言うと、アウターソールが柔らかいので重い荷物を背負った山行だと、ソールが硬い登山靴よりも疲労度が大きくなるでしょう。靴底が柔らかいと、足の筋肉で体を支える必要がでてくるので疲労が増すのです。

 

岩稜帯に適しているか?

 

岩稜帯では岩の小さな張り出し(スタンス)を見つけ、そこに足の一部を乗せて三点支持を取ったり、クサリを頼りにしながらバランスを崩さないよう通過することが多くなります。

 

これも、モアブが登山靴よりもつま先が大きくそり上がっているのとアウターソールが柔らかい弊害なのですが、つま先での立ち込み(つま先でスタンスに足をかけて体勢を維持する)がやりにくいのです。

 

登山靴だとアウターソールが硬く、つま先から踵までがおおよそ直線的なので、立ち込みをしても靴自身の剛性でスタンスに乗っている形をキープしやすくしてくれるのです。よって、足への負担が大きく軽減されます。

 

モアブだと岩稜帯を突破できないとまでは言いませんが、疲労度が増したり、ミスを誘発させる危険性は登山靴よりも大きくなるでしょう。

 

 

結論

 

モアブを使ってみて、そのデザインと機能から一番生きるシーンは「ハイキングなど軽いアウトドア活動を伴う旅行」ではないかと思います。野山にも街にも行くけど、登山靴だと街中ではオーバーすぎる、なんて時にぴったり。

 

もちろん、ふだんの散歩や街歩きなどにも最適だと思います。平地での歩きやすさや疲労感の少なさは、特筆に値するかと。

 

アウトドアに関しては、標高2000m以下のそんなに険しくない、日帰りできるような低山ならモアブで行けると思います。関東周辺なら、尾瀬の湿原歩きや筑波山、高尾山など。奥多摩や丹沢、奥秩父だとコースにもよりますが、岩場や急斜面の下りがある所ではオススメ出来ないかな。

 

私は普通に買い物や散歩など、街中でもそれなりの距離を歩く場合にはモアブを履いていることが多いです。使う場所を間違えなければ、このデザインと歩きやすさ、天候問わず使える機能性は正義ですよね。

Apple Watch UltraからUltra2へ買い換えるべきか調べてみた

2023年9月12日(日本時間 13日)のApple Eventにて、iPhone15とともにApple Watchのアップデートがアナウンスされ、Apple Watch Ultra2がこの9月に発売されます。

 

www.apple.com

 

まさか、Apple Watch Ultraがたった1年でアップデートされるとは思わなかったので、私的には結構ビックリでした。この1年でどれだけアップデートされたか気になります。

 

以下、発売前に分かる範囲でのApple Watch UltraとUltra2の違いをまとめてみました。Ultra2になっての変更点は赤字で表記しています。

 

Apple Watch UltraとApple Watch Ultra2の比較

 

Apple Watch Ultra 

Apple Watch Ultra 2

発売年

2022年9月

2023年9月

価格

124,800円

128,800円

SiP/メモリ

S8 SiP 

U1チップ(超広帯域)

メモリ:32GB

S9 SiP 

第二世代の超広帯域チップ

メモリ:64GB

バッテリー

通常:36時間

低電力モード:60時間

通常:36時間

低電力モード:72時間

GPS

L1/L5高精度二周波GPSGLONASSGalileo、みちびき、BeiDou

L1/L5高精度二周波GPSGLONASSGalileo、みちびき、BeiDou

耐環境性能

MIL-STD-810H

耐低温仕様:-20°

100m耐水

MIL-STD-810H

耐低温仕様:-20°

100m耐水

搭載センサー

血中酸素、心拍、皮膚温、高度、

加速度、ジャイロコンパス、水深、水温

血中酸素、心拍、皮膚温、高度、

加速度、ジャイロコンパス、水深、水温

ディスプレイ

LTPO OLED常時表示Retina

(410x502pix)、最大2000ニト

LTPO OLED常時表示Retina

(410x502pix)、最大3000ニト

重量

61.3g

61.4g

その他

 

ダブルタップジェスチャー

 

大きな違いとしては、心臓部にあたるSiPが一世代進化してS9になったことでしょうか。同時に「探す」機能で使用する超広帯域チップも世代が上がっています。

 

さらに、もしかしたらこれが最大の変更点かも知れませんが、内蔵メモリが倍の64GBになっていますね。これならApple Watch Ultra2に音楽やアプリなど結構格納できてしまうかも。

 

Apple Watch Ultra2

 

デザインなど目に見えるところについて言うと、外観は全く一緒。ケースのサイズも画面の解像度も同じで、重さは0.1gだけUltra2の方が重い。

 

ダブルタップジェスチャー

 

もう一つ大きなアップデートとしては、Apple Watch Ultraを装着している手の親指と人差し指をダブルタップすることで操作することが出来る「ダブルタップジェスチャー」機能がApple Watch Ultra2で使えるようになります。これはS9 SiP搭載機の機能みたいなので初代のApple Watch Ultraでは使えなさそう。

 

その他の機能はほぼ同じで、画面の輝度が最大3000ニトに上がったくらいですかね。直射日光下の眩しいところで画面が見やすくなるとのことですが、初代Ultraの2000ニトでも十分明るいです。

 

 

買い換えるべきか?

 

上にまとめたように、ハードウエアとしての変更点はあまり大きくないのでApple Watch Ultraを持っている人はUltra2へ買い換える必要はなさそうですね。

 

今回はApple Watchの処理系を司るSiPがS8からS9にアップデートされたので、それに合わせてApple Watch Ultraもアップデートされた感じかと。

 

ただ、現行のApple Watch Ultraで処理が遅いと感じることもなく、SiPが1世代進化したくらいでは大きく体感できるような変化は期待できないものと思われます。

 

とはいえ、以下のような方は買い換えた方が良いかも知れません。

 

  • 最新のApple Watch Ultraを付けていないと気が済まない。Appleへのお布施は金額を厭わない!
  • 最新の機能に目がないので、ダブルタップジェスチャーをどうしても使ってみたい
  • 晴天時はとても眩しくて2000ニト程度の輝度では画面が見づらい

 

個人的にはムダにいろいろな機能を追加するくらいなら、とにかくバッテリーの持ちを良くしてほしいです。Apple Watchに限らずスマートウォッチ最大の弱点はバッテリーの持ちですからね。

 

なお、Apple Watch Ultraシリーズは通常使用で36時間使えるとしていますが、頻繁にアプリとか起動しなければ稼働できる時間はもう少し長い印象です。

 

これを通常使用で2日間、つまり48時間にしてもらえればとりあえず言うことないです。Ultra3ではこのあたりの改善を期待しています。

 

意外だったのは、この円高にもかかわらず他のApple製品とは異なり値上げ幅がたった4000円だったこと。Apple Watch Ultraを所有しておらず、これから新しくApple Watch Ultra2を買うつもりなのであれば、価格差も少なくよい買い物になりそうです。

【FORESTER(SK)】さよなら My FORESTER

ついに4年ほど乗ったFORESTERとお別れしてきました。

 

八ヶ岳やアルプスの山々といろいろなところに連れ出しましたが、今となっては良い思い出です。

 

在りし日のフォレスター

SKでまだ現行型なので、すぐに買い手は付くでしょう。次のオーナーにも愛されますように。

 

 

AirPods Pro 第一世代から第二世代への買い換えは正解か?

ほぼ発売と同時に購入したAirPods Pro(第一世代)を約3年使ってきました。

 

AirPods Pro(第一世代)発売当初はあまりの人気に入手困難で、会社に行く朝にオンラインのApple Storeで少数だけやっていたネット販売分を予約して、会社帰りに銀座のApple Storeの店舗まで取りに行ったことを覚えていますね。

 

 

あの小さなBluetoothイヤホンに高性能なノイズキャンセリング機能が付いたのは当時画期的だったから人気が出るのは必然でした。

 

そんなずっと愛用していたAirPods Pro(第一世代)ですが、つい先日、右耳のイヤホンがノイズ音を発生して、お亡くなりになってしまいました。

 

実はAppleの修理で片方だけ交換するという方法もあるのですが、保証外だと片方交換で14,400円(2022/12現在)するので迷ったんですよね。

 

結局、ちょうど先日新型も出たし買い換えちゃおうかということでAirPods Pro第二世代に買い替えしました。以下、その比較レポになります。

 

結論

まずはじめに結論から、

 

「音質や利便性が大幅UP!金に余裕があれば、AirPods Pro第一世代から第二世代に買い換えるべき!」

 

その理由をこれから説明していきましょう。

 

操作性

 

次に、操作性について。

第一世代はAirPods Pro単体で音量調整することができなかったのですが、第二世代から可能になりました。これは朗報!

 

 

AirPods Proのうどん部分にある「へこみ」を押したりすることで再生開始・停止やノイズキャンセリングなどのモード変更などができましたが、なんで一番使う音量調整がないの?とずっと思っていました。

 

第二世代では「へこみ」を上になぞると音量UP、下になぞると音量DOWNとなり、さらに使い勝手が向上しています。

 

個人的にはこれが付いただけで買い替えしても良い機能だったりします。

 

 

音質

 

第一世代と第二世代とで聞き比べるとだいぶ音質が違いますね。

 

まず、第一世代は全体的に音が「ざらっ」としていて、解像感が低い。全体的に音にまとまりがなく、低音がちょっと弱い。Bluetoothイヤホンとしてみれば、そこそこの音質なんだろうけど、ノイズが存在する外で使用することでバランスを保っている感じ。

 

対して、第二世代は音の解像感が上がっていて、若干ざらつきは残ってはいるものの第一世代からはかなり改善されていますね。そして、全体的にヌケ感があり音の通りが良く、低音は質感が高くなり、前よりもキレと量感を持って鳴るので、だいぶ足腰がしっかりした良い音に聞こええます。

 

当然、次に説明するノイズキャンセリング機能の向上も音質、というよりも、低ノイズによってクリアに音が聞こえることが、聞こえる音そのものに良い意味で大きな影響を与えていることは間違いありません。

 

 

低音の質感向上は、ロックとかテクノとか低音バッキバキの音楽との相性もさらにアップで嬉しい限り。

 

とは言え、静かな環境で聴くとやはり中音域の解像感は相変わらずあまり良くないので、気になる人はちゃんとしたヘッドホン買ったほうがよいですね。これはAirPods ProというよりBluetoothの通信帯域の限界かと。

 

 

ノイズキャンセリング

 

これは第二世代で明らかに良くなっていますね。素晴らしい。

 

第二世代は家の中のような、生活で発生するノイズはほぼ確実に消してくれるし、外で使っていても自動車や電車の走行音などは第一世代よりもかなり高いレベルでノイズを消してきます。

 

なので、カフェとかで周りの音が気になるようなときにするととても効果が高いです。本当にノイズキャンセリングが強力なので、高性能な耳栓としてもいいですね。

 

いろいろなところでAirPods Pro第二世代のノイキャンはイヤホンとしては最高峰との評価を受けていますが、使ってみても過大評価ではないと言えます。

 

とはいえ、声やアナウンスなど聞こえないとマズイ音に関しては適切なレベルで拾ってくれるので安全にも配慮されています。音の消しすぎはとても危険です。

 

一つ気になるのが外音取り込みモード。これは第二世代の方が若干「音をマイクで拾って合成している」感がでていて、第一世代と比べると若干ではあるが自然な感じがしないのは気のせいでしょうか。

 

 

総評

 

買い換えするかどうかはともかく、買って損はない一品です。

 

特にiPhoneなどApple製品との相性の良さは言うまでも無く、iPhoneMaciPadiPhoneなどといったソースの切り替えもとてもスムースでストレスがありません。

 

既に書いたように音質も、ノイキャン性能も向上していて、総合力でも他の名だたるBluetoothイヤホンとも互角以上に戦える製品であることは間違いなし。

 

 

おすすめしたいのは音楽を聴くだけではなく、耳栓として使用すること。カフェでMacを開いて仕事をするときにも最適ですし、そのまま帰りにはiPhoneにソースを移して電車の中で音楽を楽しみながら移動するなんてことも普通に出来ちゃいますからね。

 

まぁ、問題はお値段ですか。円安なばかりに4万円近い金額になってしまったお金を出せるかどうかですかね。

 

Apple Watch Ultraは山登りで使えるか?

以前に、Apple Watch Ultraを購入した旨の記事を上げましたが、あれから山登りや普段の生活の中に取り入れ3ヶ月ほど使ってみました。その使用感をまとめてみたいと思います。

 

daydream2006.hatenablog.com

 

まず、結論から言うと、

「買って良かった。十分山登りに使える」です。

 

一言で言うなら「なかなか優秀なガイド」と言ったところでしょうか。後で詳しく述べていきますが、Apple Watch Ultraの機能を有効に使うことで、登山での安全を高めたり、各種サポートが充実したりします。

 

バッテリー持ちについて

 

スマートウォッチのバッテリー持ちに関しては大きな懸念点の内の一つでしたが、Apple Watch Ultraを使ってみると通常使用時で36時間とほぼ公称通りで、特に何かをしたから極端にバッテリー持ちが短くなる、と言ったようなことはありませんでした。

 

むしろ、ふだん使いでただ腕時計として付けているだけで、アプリとか余り使わないのであれば、もっと持ちは良くなりますね。

 

Apple Watch UltraとノーマルのApple Watchとの最大かつ決定的な違いがこのバッテリー持ちの差だと言えます。Apple Watch9で公称18時間のバッテリー持ちとUltraの半分になってしまうため、充電環境が制約される登山などの長時間のアウトドアアクティビティにおいては、このバッテリー持ちの差が使い勝手の大きな差になってしまうのです。

 

山行での使用に関して言うと、3日間の北アルプス長期縦走では途中で1回充電しましたが、それで問題なく使用できたため、バッテリー持ちに関してはまずまずの評価です。日帰り登山では朝に100%充電しておけば帰りまで余裕で持つと思います。

 

 

では、これから良かった点と改善して欲しい点を挙げていきます。

 

良かった点

 

スマホ取り出し回数が激減

 

登山中におけるスマホの格納場所って結構悩ましいですよね。私はザックのチェストポーチに入れていますが、時間や地図を確認する度に取り出すのは結構面倒くさい。

 

一番のリスクは登山道上でスマホを落としてしまうことです。私は合戦尾根で落として画面をたたき割ったことありますし、友人は表銀座の岩稜帯で奈落の底にスマホ落として取り返しのつかないことになりました。もはやスマホ無しの登山は致命的な人も多いのではないでしょうか。

 

ここでApple Watch Ultraがあれば時間や地図の確認も安全で楽ちんです。スマホを落としたり、バッテリー切れのリスクにもある程度対応できます。YAMAPなどをコンプリケーションに登録しておけば、Apple Watch上に一発呼び出しできます。

 

万歩計になる

 

不思議なことに、Apple Watchはなぜか単独で万歩計の機能がありません。歩数自体はフィットネスアプリのパラメーターとしてはあるのですが、コンプリケーションとしてリアルタイムに表示できないので不便なんですよね。

 

でも、こういうときこそ外部のアプリを入れれば解決します。私が愛用しているのは以下のアプリです。

 

Duffy - 歩数計コンプリケーション

Duffy - 歩数計コンプリケーション

  • Think Tank Productions
  • ヘルスケア/フィットネス
  • 無料

apps.apple.com

 

これの何がいいかというと、無料なのとコンプリケーションとして配置できるので、Apple Watchの画面に常に歩数が表示可能なところ。目標歩数を達成するとお知らせしてくれるのも便利。

 

確かYAMAPのアプリでも歩数計測できたと思いますが、山行時のみの歩数なので移動も含めた歩数計測などしたい場合はよいですよ。もちろん、ふだん使いにも。

 

GPSが正確

 

GPSがとても正確で信頼性高いです。

 

高精度二周波GPSとやらで精度を上げているようですが、普段のランニングやウォーキングで通ったコース情報が非常に精密かつ正確に記録され、iPhone側のフィットネスアプリから地図上にマッピングされた状態で参照できます。

 

以前使っていたスマートウォッチでは時々GPS記録が飛んだり不正確な記録だったりと、GPSロガーとしてはかなり使えない感じだったのですが、Apple Watch Ultraでは今のところそのようなことはありませんね。

 

山でもApple Watch内蔵の高度計と合わせてコンパス代わりに使うと、紙の地図上でも位置特定が簡単にできますので、とても便利です。登山者御用達の「山と高原地図」には緯度と経度が書いてあるので、磁北線とか気にせず初心者も簡単にApple WatchGPS情報から現在位置を知ることが出来ますよ。

 

心拍数の把握が容易

 

Apple Watch Ultraで登山中の心拍数管理をしています。
これで何ができるのかというと、適切なペース配分です。

 

ソロ登山だと、登り初めを飛ばしすぎたりして後半バテバテになったり、全体的にペースが速くなりがちになって疲労が余計にたまってしまい、休憩を多く取らざるを得ないような状況になってしまった経験のある人も多いのではないでしょうか。

 

そこで、心拍数トレーニングの応用で、現在の運動強度を心拍数から逆算することで、オーバーペースになっているかどうか判断するのです。

 

どのくらいの心拍数を目安にするかは、年齢や持久力などいろいろな要素が絡んでくるので試しながら調整になるのですが、おおよそ年齢によって目安があるので、以下のサイトを参考に調整してみてください。

 

www.tyojyu.or.jp

 

山にもよりますが、私の場合はだいたい登山中の心拍数の上限を145bpm前後に設定しておいて、それを超えるようならペースダウンしています。そうするとあら不思議、疲労感の少ない登山が出来るというわけです。

 

電子マネーが使える

 

山小屋で電子マネーを使うのはまだ厳しいですが、行き帰りの公共交通機関運賃支払いや登山前後のコンビニや食事代金の支払いなどで、Apple Watch Ultraのウォレットに登録している電子マネーを便利に使っています。

 

ザックやポーチにしまっている財布やスマホを取り出さなくてよいのは本当に便利!

 

緊急時のSOS機能が充実

 

さすがにまだ使ったことはありませんが、Apple Watch Ultraは緊急時の機能が充実しています。例えば緊急連絡先への連絡をボタン長押しで出来たり、86デシベルの緊急サイレンを鳴らして居場所を周囲に知らせたりすることも可能です。

 

あと、スマホが使えなくなった場合の連絡・通信や現在地把握の代替手段としても使用可能です。実はこれでスマホのバッテリーが無くなった際に一回助けられています。重要な機能を二重化しておくことで緊急時にも対処可能になりますね。

 

なので、登山で使うならスマホと合わせてApple Watch Ultraも通信サービスに加入して、iPhoneなしの単独でも通信可能にしておくことを強くお勧めします。ahamoなら+550円/月(税込)で加入できます。

 

他にも良い点は色々ありますが、個人的にはこんな感じでしょうか。

 

 

改善して欲しい点

 

バッテリーの持ち

 

省電力モードだと60時間(Ultra2だと72時間)使えるようになりますが、省電力モードは使える機能が制限されるのでなるべく避けたいのですよね。通常使用で最低3日間は無充電で使えるようにして欲しいです。

 

最低動作温度

 

Apple Watch Ultraの最低動作温度が-20℃なのですが、早朝の冬山だとたまにこれを下回るので、-30℃くらいにしてもらえると安心して厳冬期の八ヶ岳に行けるんですけどね。

 

アクションボタン

 

一発でワークアウトを呼び出せるのは良いのですが、呼び出せる機能が少なすぎてまだ便利とは言い難いですかね。できれば、アプリケーションなど呼び出せるようにして欲しいのですが。

 

また、アクションボタンが大きく押しやすい位置にあるので、意図せず押してしまっていつの間にかワークアウトが始まっていたりすることがよくあります。慣れの問題なのかも知れないですが、誤操作が多くなりがちなのでボタンの位置や硬さなどを改善して欲しいです。

 

 

初めはデカくて重くて使いにくいかなと思っていましたが、使っているうちに慣れてきたのか、なんとも感じなくなってきました。むしろ、その存在感が所有欲を満たすので良いのではないかと。

 

Watch OSとApple Watch Ultraが今後どのように進化を遂げていくのか楽しみです。

【試乗記】MAZDA CX-60

注目のマツダ CX-60に試乗してきましたのでレポします。

 

www.mazda.co.jp

 

前にエクストレイルの試乗したからには、出た時期も近く、その直接のライバルになるであろうCX-60を試しておくのは必然でしょう。ということで、近所のマツダのお店で乗せて頂きました。

 

乗ったグレードはSKYACTIVE-D 3.3を搭載したXD-HYBRID Exclusive Sports 。

 

初めて見た第一印象は「でかっ!」です。

 

隣にCX-5が並んでいて比較できてしまったのがいけなかったのかも知れないですが、さすがの全幅1890mmは貫禄たっぷりで、特に正面のグリル周辺はボリューム感があって凄く大きなクルマに見えますね。

 

マツダのCXシリーズを踏襲したエクステリアは非常に端正で、相変わらずデザインは隙が無いなぁ、と関心していました。CX-5と比較するとよりグラマラスになった上に、品を感じさせるデザインですね。

 

インテリアも見せ方が上手い上に素材も良く、凄く上品で高級感ありますね。運転席と助手席の間のインパネが幅があって、なんとも言えない重厚感を醸し出していたのが印象的でした。レクサスでもなかなかないですよ、ここまでのは。

 

マツコネも昔、CX-5の出始めに乗った頃は酷いもんでしたが、画面も大きく解像度の高くなり見易くなりましたね。使い勝手までは分かりませんでしたが。

 

ラゲッジスペースも機能的で素晴らしかったです。特に出口と床面がフラットなのがよいですね。ここはエクストレイルと比較だとCX-60の勝ち!

 

MAZDA CX-60

 

では、試乗編です。

 

ここでの注目点はマツダの新型直6ディーゼルターボです。このご時世に、よくこんな大排気量エンジン作ったなといった時代錯誤感がたまらなく良いのですが、果たしてその実力は?

 

CX-5ディーゼルエンジンもそうでしたが、湧いてくるトルク感がたまらないエンジンに仕上がっていると思います。直6ということでとても滑らかな回り方をしますね。

 

一般道や高速の合流では十分な加速感を得られると思いますし、231ps/51kgをひねり出すエンジンの質感も上々に感じました。国産車でもここまでやれるのか!と。

 

いろいろ言われる足回りですが、私はそれほど違和感は感じませんでした。確かに硬めの足かな、とは思いましたが同乗者が不快になるほどとは思えず、あえて言えば内装含めた「高級感」からこの乗り味はどうなんだ、といわれればちょっと期待するモノとは違うという人もいるだろうな、ということかなと。

 

足回りはFRベースの4WDだということがすぐに分かりますね。特にコーナリングしているときに後輪が駆動している感じがとてもよく分かります。

 

ただ、乗り味の洗練具合は同じFRベースの4WDを出しているメルセデスBMWにはまだ一歩二歩譲りますね。価格帯が違うよとか言われそうですが、CX-60はハンドリングが軽めで、同乗した営業さんが「SUVロードスター目指した」とか言ってたのを思い出しましたが、もうちょっとしっとりとした落ち着いたハンドリングでも良いんじゃないかと思いましたね。これもイメージとの乖離。

 

あと、エンジンもBMWの直6の方があるときはもっと上品に、あるときはもっと獰猛に回ります。官能性やスポーティーさと言う面でもシルキー6にはまだまだ及ばない感じ。でも、貴重な国産直6には是非追いついて貰いたい。その素地は十分ある。

 

なので、良いクルマだなと思ったと同時に、もっと良くなるんじゃね?と思ったのも確か。もう少し熟成してからの方が楽しみなクルマなのは間違いないかと。マツダは年次改良してくるのでなおさら。

 

以上、CX-60試乗レポでした。

【試乗記】BMW X3 xDrive 20dとM40d (G01 LCI)

BMW Tokyo BayにてX3を試乗してきました。

 

www.bmw.co.jp

 

試乗したのは現行G01 X3 xDrive 20d MspoとM40dで両車ともLCI後の2グレード。この他に30eも試乗車がありましたが、PHEVには興味ないのでパス。

 

試乗コースは両方とも高速コースで、首都高を台場から乗りレインボーブリッジを渡って浜崎橋から銀座経由で江戸橋JCTへ、さらに9号深川線から湾岸線に入り有明出口で下りるというコースでした。

 

個人的にもよく利用するなじみのある区間を通るので、チェックポイントを以下に定めて車を評価していました。

 

・台場入口からレインボーブリッジまでのランプウェイ区間の上りでの加速感

・台場入口合流のスムーズさ

・浜崎橋付近のコーナーから合流までのハンドリングと加速感

都心環状線銀座区間のトリッキーなコーナリングにおけるハンドリング

・9号深川線の直線での加速と木場付近の高速コーナーでのハンドリング

 

やはり、BMWほどの車になるとハンドリングや加速感(エンジンフィーリング)は高速道路で確認したいですからね。まさに今回の試乗区間はそれらを確認するに相応しいコースでした。

 

というわけで、まずはじめにxDrive 20d Mspoから。

 

X3 xDrive 20d M sport

 

現在のX3における事実上のエントリーモデルになっている20dですが、エンジンは190ps/400Nmを絞り出す2Lのディーゼルターボエンジンを搭載したモデル。

 

エンジンのフィーリングは上々で、X3の大きなボディを軽々と転がすトルクフルなエンジン。一般使用には十分な力強さと軽快さを兼ね備えたエンジンでした。

 

ディーゼルの特徴である出力の出方の「もっさり感」が少なく、踏めば踏むほど回っていくような感覚は良い意味でディーゼルらしさがないです。

 

足回りもMspoだったので硬めですが、硬めの足回りが好きな私にはむしろちょうど良く「引き締まった足回り」という言い方のほうが適切かな、と感じましたね。

 

運転していても全幅1890mmのボディほどの大きさは感覚として感じられず、BMWらしくこぎみの良いハンドリングとあいまって、ミドルクラスのSUVといえど駆け抜ける喜びと、さらには扱いやすさも十分にある感じ。

 

必要十分なトルク感と優れたハンドリングで、首都高速銀座区間のクネクネしたところも楽しくいなしながら運転できますし、深川線の直線区間も気持ちよい加速で駆け抜けることが出来ましたね。

 

走りに関しては総じてバランスが良く、この後紹介するM40dほどのスゴさは無いものの、足として使うには十分で、BMWとしての運転の楽しさは十分味わえるバランスの良いクルマだなという感想とともに試乗を終了。

 

逆に悪いところとしてはやはり全体的に足回りが硬いので普段レクサスとか乗ってる人はどう思うかな、というところと、「十分」「必要十分」という表現からも分かるように外車ならではの速さとか、特別感のようなモノをこのモデルに求めるのはちょっと酷かなという印象です。

 

そういった意味では価格とのバランスが取れているかといったら、うーん、と考えてしまいますかね。

 

X3 M40d

 

BMWは同じモデルでもM Sport → M Performanceモデル(M135iとかM240iとか) → Mモデル(M3とかM4とか)の順番にスポーティーなバリエーションを展開しているのですが、M40dはX3におけるM Performanceモデルにあたります。

 

Mモデルはサーキット走行を意識したかなりスパルタンなモデル。対して、M Performanceモデルはそこから一歩引いた性能にはなりますが、実用性を兼ね備えたモデルです。外車ならではの速さや高性能をBMWで味わいたい人はM Performanceモデルからが対象になるかと。

 

X3 M40dは他のドイツ御三家の同じコンセプトの車だと、メルセデスだとGLC 43、アウディだとSQ5に相当する車ですね。

 

シルキー6を搭載したM Performanceモデルのお手並み拝見という感じだったのですが、いきなり衝撃を受けました。はっきり言いますが、このクルマはスゲーです。20dと同じX3なのか?という感じ。

 

どれくらいスゴかったかというと、首都高の台場の入り口から合流までのランプウェイで思いっきり加速していったのですが、その加速の凄まじさに同乗者と笑いが止まりませんでした。ドドンパ並みっすよこれ。

 

暴力的な加速と言えば、私は以前インプレッサWRX STIに乗っていたことがありますし、リッターバイクにも乗っていたことがあるので、この手の四輪車の加速はある程度想像できるし、リッターバイクほどじゃないだろと予想していたのが、こいつは想像を超えてきました。

 

340ps/700Nmのパワーを絞り出す、BMW 3リッター直6ディーゼルターボの威力は半端なかったです。だいたい、トルクが700Nmってなんなんなん?!

 

700Nmということは、ちょっと前までの表記だと71.4kgm!そりゃ、2t以上ある重量級のボディでも弾けるようなダッシュを決められるわけです。0-100km/h加速が4.9秒とかSUV離れした数値になるわけですよ。

 

もう、試乗中はこのエンジンに完全に魅了されていましたね。合流や追い越しでの加速感は言わずもがな、だからといって扱いづらさは一切無く、思いのままに溢れ出るようなトルクを操るこの快感はクルマ好きであれば一度は味わうべきものですね。

 

試乗でも江戸橋JCT手前の上り坂で前走車に引っかかって追い抜きをかけたのですが、アクセルをちょこんと踏んだだけで、上り坂とは思えぬ中間加速で一気に置き去りにしてしまったのは圧巻でした。その滑らかかつ極太のトルク感は高出力モーターでも付いてるのか?と本気で疑うレベル(M40dはマイルドHVなので小さいモーターが付いてはいますが、、)。

 

踏めば踏むだけ応えてくれるこのエンジンは絶品。ディーゼルエンジンの既成概念が完全に吹っ飛びました。ディーゼルエンジンだなんて言われないと分からないくらい回るし、レスポンスも素晴らしいです。エンジン音もなかなか高揚感ありますしね。

 

電子制御サスを搭載するモデルなので、パフォーマンスコントロールで足の硬さは変わりはするのですが、Mspoモデルと同じくコンフォートでも比較的硬めの足回りとなっています。でも、不快さやガチガチな感じはないですね。このスポーティーなエンジンに軟弱な柔らかサスは想像できないのでこれでいいんです。

 

車重が2tあるからか重厚でどっしりとしたフィーリング。その重量からか、そこはかとなく高級感さえ感じる乗り味です。

 

ハンドリングもエンジン同様、とても良いです。サイコーです。クイックかつ適度な重さのあるハンドルの操作感は、銀座区間のクネクネと木場付近の高速コーナーで威力を発揮します。

 

非常に高い安定性と運動性をもたらす引き締められた電子制御サス、BMW独自の状況に合わせ最適な駆動力を前後輪に振り分ける四輪駆動システムであるxDrive、コーナー脱出時に後輪左右の回転差を検知し電子制御で低減させるMスポーツディファレンシャル。

 

これらの組み合わせにより生み出されるスタビリティの高い乗り味を知ったら、もう意味なくコーナーに突っ込んじゃいますね。この感じだと峠でも間違いなく楽しいクルマですよ。SUVなのに。

 

xDrive 20d Mspoとは価格差140万円でM40dが手に入れられるのはちょっとマズイですね。自分ならこの差に140万出しちゃうかなぁ。クルマとしての魅力は金額差以上の差があるし、走りの快感と所有感は別格ですよね。

 

 

今回は試乗記なので主に走りの面に関してレポートしましたが、M40dは本当に衝撃でしたし、魅力的なクルマでした。SUVでもこんなクルマ作れるんだと。