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DAYDREAM

白日夢を徒然なるままに

太平洋奇跡の作戦 キスカ

映画

7月29日は1943年にキスカ島撤退作戦が実施された日。というわけで、東宝の戦争映画「太平洋奇跡の作戦 キスカ」のレビューです。久々の映画評ですね。

以前にTVでやっていたのを見た記憶があり、改めて見直したいと思っていた映画でした。そこで、たまたまAmazonで安く売っていた所をDVD買っちゃいました。最近の映画でもなければBlu-rayでなくともDVDで画質は十分です。だってこれ、白黒映画ですし。

この作品は第二次大戦中に帝国海軍が実施したキスカ島撤退作戦がベースになっており、完全にノンフィクションというわけではないのですが、おおよそ史実に近い形での話になっています。

初見時から思っていましたが、この映画は個人的に名作の部類に入れても良い映画だと思っています。非常に面白かったので時間を忘れて見入ってしまいましたね。

戦記物の映画ですが、見せ場となる派手な戦闘シーンはほぼ皆無。最もキスカ島撤退作戦という史実でも戦闘が主眼ではない撤退作戦を描いた作品なので無理もないのですが、そんな戦記映画のどこが面白いのか?と言う話になります。

見ていて「潜水艦映画によく似ているなぁ」と。潜水艦映画に駄作無し、とよく言われますが、潜水艦映画も派手な戦闘シーンはほとんどありません。戦闘と言ってもひたすら爆雷攻撃に耐えるか魚雷撃つだけ。でも凄く面白い。

それは潜水艦ならではの見えない敵(駆逐艦)と戦わなくてはならない、その緊張感が全てだと思います。敵との駆け引き、十分でない状況把握からの決断などそれだけで手に汗握る展開になるわけです。

この映画はアッツ島玉砕により窮地に立たされたキスカ島守備隊の撤退作戦(ケ号作戦)がベースになっています。ほとんど視界ゼロの濃霧の中を、米軍に完全包囲されているキスカ島へ敵に気づかれることなく10隻以上の艦艇で救助に乗り込んでいかなければならないわけです。

5200名の将兵を救出できるかどうかは艦隊司令の決断と濃霧のあるなしに全て掛かっているわけで、その画面から伝わる緊張感は潜水艦映画と同等かそれ以上のものでした。

以下、一言感想箇条書きです。

・第一水雷戦隊旗艦 軽巡「阿武隈」のカッコ良さは異常

木村昌福少将(劇中の大村少将)の一回目の突入を断念する場面での「帰ろう。帰ればまた来られる」は名言。空気に流されず、状況を冷静に判断し最も理に適った決断をするのは非常に難しいものだ

・故にこの映画が上記の名言含め管理職や経営者のバイブル的な言い方をされるのもよく分かる。決断することの重みを知ることができるからだ

円谷英二の特撮が素晴らしい。濃霧から突如現れる海防艦「国後」が軽巡「阿武隈」と衝突する場面やキスカ島沿岸の岩場を艦隊が抜けていく場面などとてもリアル

・鑑賞後にさわやかな気持ちになれる旧日本軍が主役の映画はなかなか無いので貴重

・当時の東宝俳優総出演状態でかなり豪華な配役。気象官役の児玉清が若い

・團 伊玖磨の音楽が重厚で良い。「キスカマーチ」は有名ですね

【参考:キスカ撤退作戦参加艦艇】

司令官:木村昌福少将(劇中では大村少将)

軽巡洋艦:阿武隈、木曾、多摩

駆逐艦:響、若葉、初霜、朝雲、薄雲、風雲、五月雨、秋雲、夕雲、長波、島風

海防艦:国後

駆逐艦「若葉」は途中損傷により離脱。

ちなみにこの劇画中だと響と風雲がいなくて黒潮親潮になってます。この二隻はキスカ島撤退作戦時には既に沈没しているのですけどね。