現在公開中の「フラガール」を見てから、無性にもう一度見たくなった映画があったのです。それが「リトル・ダンサー」。早速、ツタヤで借りて鑑賞してみました。
知っている人は「なるほど」と思うだろうけど、知らない人のために言っておくと、この映画は5年くらい前に結構話題になった映画で、確かアカデミー賞監督賞にノミネートされた作品です。
以下、ネタバレしない程度のあらすじ
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炭坑ストが行われているイギリスの片田舎で暮らすビリー少年はひょんな事からバレエに興味を持ちレッスンを受けるようになる。しかし炭坑夫の父は男がするものではないと辞めさせようとするが、バレエ教師はその才能を見抜きバレエスクールのオーディションを受けさせようとする。
ビリー少年は頑固な父を説得できるのか?オーディションに合格できるのか?バレエに魅せられたビリー少年の等身大のエピソード。
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どうです、背景とか何となく似てますよね。フラガールと。
サッチャー改革の裏で起こった炭坑での悲哀を描いた映画といえばすでにイギリス映画として一つのジャンルと化したところがあるのかもしれないですけどね。「ブラス!」もそんな感じでした。
で、フラガールを見た後に再度この映画を見てみると「思ったほど似てなかったなぁ」という印象を持ちました。フラガールの方が日本人受けする浪花節的エッセンスが多く含まれていて、リトル・ダンサーの方が物凄くあっさりした映画に見えるんですよね。
個人的にはリトル・ダンサーは良い映画なんだけど話や演出がちょっと淡々としてるんですよね。薄味って言うか。とても手堅くまとまってるんだけど、やっぱブリティッシュ!(大味!)みたいな感じですか。洋画好きはこういうの好きそうですけどね。
某「フラガール」のレビューで「フラガールはリトル・ダンサーのパクリでしょ」というものがあったのですが、フラガールはリトル・ダンサーの只のパクリじゃなかったです。確かにシーケンスとしては似ているところがあるけどこれでパクリだって言ったら映画、果てはTVドラマも作れなくなっちゃいますよ。
例えばフラガールなら母、リトル・ダンサーなら父にダンサーになることを認めさせる場面がそれぞれ登場するのですが、意味合いがちょっと違う。フラガールの場合は決意やダンスにかける意気込みをフラダンスで母に伝えて理解を得ようとするのに対して、リトル・ダンサーの方は少年の表現することや踊ることへの喜びをダンスで父に伝えることで理解を得ようとするわけです。演出もかなり違うしね。
模倣を何処まで昇華できるのか、これも映画監督の腕の見せ所ですから。