随分と試乗記から時が経ちましたが、結局新型フォレスター(SK)のPremiumを買いました。
実はもう納車済みでして、慣らし運転も終わりましたので、そろそろブログにいろいろ感想を書いてみたいと思います。
はっきり言ってしまうと消去法で残ったからです。ある意味、妥協の買い物と言えなくも無い。
あ、でも後悔はしてないですよ。その理由をご説明しましょう。
今回はSUVにすることを初めから決めていました。プライベートでアウトドア活動が増えてきて、セダンでは容量に限界を感じていたのとある程度の悪路走行ができることが望ましかったからです。
まず、初めに目を付けていたのはBMW X3でした。一番初めに試乗もしたし、外装内装ともに好みだったからです。
でも買わなかったのは、他のSUVに試乗したらBMWの一番の美点である「走り」に関してはボルボや国産車でも大して差が無い事が分かったのと、アウトドアで悪路走って汚したり等使い倒す使い方をする予定なのでさすがに800万もする外車は避けました。あと、でかい。
最後まで残った候補はフォレスターとCX-5だったのですが、CX-5をどうして買わなかったのかという最大の理由は「数多過ぎだから」。さすが人気車種だけ合って同じ駐車場に何台CX-5止まってるんだって状況なのでやめておきました。
で、最終的に残ったのがこのフォレスターだったと。
#しかし、アウトドアフィールドになるとどこから出てきた!ってくらいフォレスターやスバル車が増えますよね。某スキー場ではスバルの中古車展示場かと思ったくらい#
まぁ、そう言うとフォレスターもありふれていますが、新型のアドバンテージということでまだ乗ってる人も少ないですからね。
結論から言うと「とても良いのだが、ちょっと惜しい車」です。
高速道路の直進安定性ははっきり言って3シリーズより上ですし、「SUVの割には」ワインディングも楽しい車に仕上がってます。安全装備もかなり充実しているしユーティリティも申し分ない。後席を倒せば車中泊も十分可能なカーゴスペースもある。
では、どのあたりが「ちょっと惜しい」のか細かく見ていきましょう。
走行性能について
私のフォレスターのエンジンはe-Boxerではなく2.5Lの方ですが、慣らしが完了する前はかなり回転が重いエンジンでした。しかし、1000kmくらいから楽しいエンジンになってきましたね。スペックの割にトルクフルでNAらしいリニアな吹け上がりが気持ちよいです。トルクの出方(特性)が良いのでしょうね。
だから、よく言われるターボの必要性がイマイチ分かりません。動力性能にあまり不満はないので、仮にSKフォレスターでターボモデルが出ても私は気にならないと思いますね。
私はターボ特有のふわっとくるトルクの塊を体感するのも嫌いでは無いですが、かつてのホンダVTECエンジン(B18CやB16Aあたり)に育てられたドライバーなので、ガンガンにエンジン回した分だけパワーをひねり出すNAエンジンはもっと好きなのです。
フォレスターの2.5Lエンジンはストレス無くドーンと回るので良いですね。なので燃費はお察しなのですが、、、
ただ、低回転時のエンジン音がディーゼルみたいでガサツなのが残念。ロードノイズなどはよく抑えられているのだから、ここは気を遣って欲しかったところ。
あと、CVTがやっぱりくせ者でだいぶ抑えられてはいますが、時折顔を出すアクセルと連動しない違和感が気になります。スバルのCVTはよくできているとは言いますが、素性はやっぱりCVTを思わせるものがあり、最近の良くできた多段ATの感覚とは若干違います。
足回りは素晴らしいですね。さすがに車高が高いのでスラロームのような動きではセダンよりも安定はしないですが、それは物理法則なのでどのSUVでも同じ。普通に乗る分には腰高な感じはあまりないです。
マツダのCX-5はやや硬めでスポーティーさを意識した足回りなのに対して、フォレスターはしなやかでしっとりとした足回り。勝手なイメージですが、マツダはアルファロメオ的なイタ車の足回りを想起するのに対して、スバルは最近のBMWっぽいドイツ車的なものを感じますね。
そんな足回りを実現しているのは間違いなくSGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)からくる剛性感の影響が大きいでしょう。ハンドリングや乗り心地、高速道路の安定感などいろんな所に寄与しているのがよくわかります。足回りは本当に素晴らしいです。
SUVとしての悪路走破性も非常に高いです。今まで未舗装林道や雪道を走ってきましたが、通常時でもAWDによる安定したトラクションと最低地上高の高さで問題なくこなしています。スリップするときはX-MODEを使えばいいですし。
あと、地味に効くのがコンパクトな車幅です。軒並み他の国産SUVが1850mm前後、外車は1900mm近くの大柄な横幅なのに対して、フォレスターは1815mmと比較的小さめです。林道など山間部の道は狭いことが多く、すれ違いも困難な所も少なくありませんのでそういった所で強みになります。
さすがにジムニーには敵いませんが、積極的にアウトドアフィールドに出るのであれば車幅のコンパクトさは運転の容易さも伴い武器になります。
以上、オンロードでもオフロードでも非常に高いレベルの走行性能を備えているのが、フォレスターの美点と言えると思います。
ユーティリティについて
とても使い勝手の良いカーゴスペースを持っていると思います。
まず、リアゲートの開口部が前モデルから大きくなり無駄な突起がほとんどありません。併せて、ゲートまでの高さが適切で大人であれば高いと感じることも無いと思います。よって、荷物の積み下ろしはやりやすい車になるでしょう。
多くのスタイリッシュなSUVはそのスタイルを気にするあまり、荷室やゲート付近の構造に問題があって、荷物の積み下ろし易さを考慮していないケースが多いのですが、フォレスターはその点抜かりはありません。
一方で、インテリアのユーティリティに関してはもう一工夫出来たと思いますね。コンソールにあるドリンクホルダーも取り出しやすい位置に無く、コンソールリッド(肘掛け)の物入れも蓋が大きくて使いにくいです。
後部座席のエアコン吹き出し口やシートヒーター、USBは同乗者に好評です。
で、フォレスターが車中泊に向くのかという話ですが、ソロでの車中泊だったら私も何度かやっているのでいけると思います。ただ、身長170cmの私が後席を倒して荷室で足を真っ直ぐ伸ばして寝るには、荷室に対して体を対角線上に置く必要があります。なので、大人二人分の寝所確保は厳しいですね。
ただ、後席を倒すとかなりフラットな床面が出来るので、その点は他の車種よりも快適な寝床が出来ると思います。でもまぁ、本当に快適な車中泊したいなら素直に1BOXのミニバンかもっとデカいSUV買ってください(笑
エクステリア
対して残念なのはデザインですかね。フォレスターらしいと言えばらしいのですが、イマイチ垢抜けないのはスバルの伝統なのでしょうか。Premiumモデルはフロントに銀メッキ使いすぎで返って安っぽい印象。
なので、オプションのLEDライナー付けて若干誤魔化してます。理想はX-BREAKとPremiumの中間くらいの顔なんですけどね。
e-Boxerか2.5Lか
さて、悩ましいのは2L e-BoxerのAdvanceにするか、2.5Lのモデルにするかですよね。
購入する際に両方乗り比べてみましたが、確かに街乗りメインであればe-Boxerで十分なのかもしれません。モーターのアシストも凄く自然でマルチファンクションディスプレイの表示を見ていないとモーターが介入しているかどうか分からないくらい。
ただ、坂を登った時、特に登り出しのアシストがまだ追いついていない時に素の2Lエンジンの力不足を感じました。これだと、山に行ったときの登坂路とか大丈夫かな?と不安になるわけです。
しばらく乗っていると街乗りしているときもパワーは「必要十分」であって、余裕があるという感じではないことに気付きます。高速道路での追い越し加速や先ほど言ったような登坂路とか、自分がよく使うシチュエーションに合っていないかも、と試乗しながら感じていました。
なので、私はe-Boxerではなく2.5Lのモデルを選択したわけです。
2.5Lはなかなかトルクフルで街乗りレベルでは余裕を感じますし、高速や登坂路でも十分な力強さを発揮してくれています。
X-MODEについて(2019/8/12追記)
X-MODEについてはアウトドアフィールドに出ないとなかなか使う機会はないと思いますが、冬は雪に埋もれた駐車場からの脱出で、夏はやや荒れた未舗装の林道で使ってみましたので使用感を書いてみたいと思います。
X-MODEがそもそも何をする機能かというと「雪道や未舗装路、砂利道などの悪路で車輪のスリップを防いで走破性を向上させる機能」なんですよね。だから常用する機能ではないわけです。
X-MODEには一般的な悪路用の「SNOW・DIRT」モード、タイヤが埋まるほどの悪路用の「DEEP SNOW・DIRT」モードがありますが、個人的にこの二種類の違いは使ってみてもよく分かりませんでした。ただ、雪深い豪雪地帯に行ったわけでも、深いぬかるみに嵌まったわけでもないのでそうなったら違いは分かるのかも知れません。
X-MODEを設定することにより深い雪道でも林道の悪路でも、スリップを防ぎトラクションを確実に路面に伝えてくれるようになります。未設定時は深い雪や砂利の上に乗るとタイヤが滑ってトラクションが抜けているのがわかるのですが、X-MODEでそれが大きく軽減される感じです。
また、X-MODEを設定していると下り坂でヒルディセントコントロールが働くようになり、スリップを防止しながら一定の速度(かなりの低速)で坂を下ることができます。何度か発動させましたが、滑りやすい下りの坂道で運転の安心感につながり良くできた機能だと思いました。
但し、時速20km以下の時でしかX-MODEは設定出来ないのと、時速40km以上になると自動的にOFFになるので、除雪された雪道での走行といったよくあるシチュエーションで使う機能ではないです。あくまで、低速走行しなければならない悪路でタイヤのスリップを抑えたい場面に使う機能と思っておいた方が良いでしょう。
アイサイト
今回最大の収穫はアイサイトVer.3を手に入れたことでしょう。これは素晴らしい。
ツーリングアシストで高速道路での運転が劇的に楽になりました。特に渋滞したときは強力なドライブサポーターとして手放せなくなってます。
以前はアイサイトのようなACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール:前車追従型クルコン)は、運転を楽しみたい自分には必要ない装備だと思っていたのですが、使ってみて考えを改めました。
全車速対応ACC+車線中央維持の組み合わせで実現しているのがアイサイトのツーリングアシストなのですが、高速道路はこれでほぼ自動運転状態です。高速道路の緩いカーブならハンドルは車線維持機能で自動的に切れて操作の必要すら無いです。(ハンドルに手を添えておく必要はありますが)
感心するのが、減速や停止するときは比較的ゆったり、加速は結構メリハリある感じで行うので操作に不自然な感じがあまりないところですかね。ただ、渋滞時は無駄な加速をしてブレーキを多用する傾向があるので、ここは制御を見直して欲しいかな。
#提案なのですが、渋滞時にアイサイトのようなACCを使っている場合に後車に対して「ACC使用中」というのが分かるサインのようなものが出せるような仕組みが出来ないですかねぇ?人が運転する時ほどまだ頭が良くないので、後ろの車がいらついているのが分かるときがあるんですよね#
高速道路の運転は単調で長い距離になるほど実は楽しくないのです。さらに長い時間緊張感を維持する必要があるので、結構疲れるんですよね。それがだいぶ軽減される。
真価を発揮するのは渋滞の時で、特にアクセルON/OFFの運転負荷がかなり改善されます。面倒なのは3秒以上停止したらツーリングアシストが解除されてしまうので、手元でレジュームするかアクセル踏む手間があること。正直、ここは時間制限の無いボルボなどのACCの方が利便性としては上なので、スバルもこんな意味不明なルールを廃止して欲しい。
こんな人にオススメ!
と言うわけで、フォレスターは以下のような方にお勧めです。
・アウトドアが好きで快適に目的地まで移動したい人。特に高速道路を多用する人
・SUVだからといって運転することの楽しみを失いたくない人
・燃費よりも走りを重視する人
・雪道や悪路をそれなりに走る人
・駐車場の都合で車幅が大きな車を買えない人(フォレスターは車幅1815mm)
・安全装備を重要視する人
オススメ出来ない人
逆にフォレスターをお勧め出来ない人です。
・荷物の積載量や乗員数が大事だという人
⇒素直にミニバンか大型SUV買いましょう。フォレスターはまだマシな方ですが、この手のミドルサイズSUVは意外と荷物積めないです
・燃費が車選びで最優先の人
⇒そんな人がSUBARUのクルマを検討してはいけません
・機械式駐車場に良く車を駐める人
⇒ハイルーフ車になるので駐車をお断りされる確率大幅アップです
・シティユースSUVをご所望の方
⇒e-Boxerもよいですが、トヨタかホンダが出してるクーペみたいなSUVを選んだほうが幸せになれそうです。4WDやX-MODEいらないでしょ?燃費も悪いよ?
ここを改善すべき!
しばらく乗ってみていろいろ見えてきたので、既に書いたところ以外のフォレスター(SK)の気になったところ・良くないところを箇条書きします。
・車両価格は低く抑えているように見えるがこれは見せかけで、付けたいオプションをそれなりに搭載するとみるみる価格が上がっていく。特にナビが高い
・運転席周辺の操作スイッチ多過ぎ。画面操作の設定も多く面倒なので困ったものだ。そろそろテスラのように操作系は大画面のタッチパネルに集約する工夫が必要かもしれない
・マルチファンクションディスプレイ(MFD)は便利だが、Favorite画面で見ることが出来るメーターが少ないのでもっと増やして欲しい。例えば馬力・トルク計など
・ナビを三菱電機のものにしたが、AppleCarPlayとiPhoneを連動させたい場合は、グローブボックスからUSBケーブルを這わせないといけないので美しくない。ちなみにこのナビは音質が良いと言われているが6スピーカーにしては音質頑張っている方という個人的な評価。音の分離は良いが低音が弱い。ウーファーのオプションが欲しい。
・三菱電機とパナソニックのナビをビルトインで選べるが、ナビとしての使い勝手は両方ともダメダメである
・マルチスピーカー(9〜12くらい)のオーディオオプションが欲しかった。ただ、スバルは日本でカーインフォテイメント分野のやる気が感じられない。今後大きな問題になると思う
・センターコンソールにあるドリンクホルダーの位置が悪い。肘掛けが邪魔なのと、運転席に近すぎて左手でペットボトルがつかみにくい
・コンソールにスマホ用の非接触充電機能(いわゆるQi)をオプションでも良いので付けて欲しかった
・アイサイトだが大雨や濃霧などの悪天候時にすぐ使えなくなるのをなんとかして欲しい。むしろそういう時こそ頼りにしたいのだが、入力がカメラだけでは限界があるよね
・X-MODEセレクターはそんなに使う機会無いのに良い場所占拠しすぎ。電動ブレーキと位置を入れ換えて欲しい
・前席のホールド感がもう少し欲しかった。本革仕様にしたのだが少し滑るので、座面がもう少し沈むようになるか、サイドサポートがもう少しあると良かった
・360度ビューがあると良かった。モニタでフロントとサイド、後方をバラバラに表示しただけではイマイチ周囲を掴みきれない。いくら見切りと視界が良くても、車体周辺下部は死角のままになってる
・燃費は良くない。だいたい、9〜15km/Lで推移してる感じ。四輪駆動で車重があり空気抵抗も大きいSUVだから仕方ない面もあるが、ライバルと比較してももう少しどうにかならないのって言う感じ。レギュラーガソリン仕様なのが救い
・アイドリングストップから復帰時の振動が大きい
・なぜかリアゲートがよく汚れる
・電動リアゲートは結構力強く閉まるので、子供の挟み込みとか注意して
・最後に、やはりこの車の外観は大人しすぎる。昨今のSUVは激戦区で各社相当力を入れている車種であるのに、フォレスターはエクステリアがちょっと冒険が足りないというか、コンサバすぎるのはウィークポイントなのではないか。もうすこし、「おっ」と思わせるものが無いと埋もれてしまうよね